資料名 | 五衣色染分 黒
(いつつきぬいろのそめわけ くろ) |
作者 | 三代 歌川 豊国(国貞) ![]() |
時代 | 江戸 |
時代詳細 | 嘉永4年(1851) |
解説 | |
黒:小梅(こうめ)(『隅田春妓女容性(すだのはるげいしゃかたぎ)』より)か 本作に描かれた美人は、侠客(きょうかく)「梅の由兵衛(うめのよしべえ)」の妻「小梅(こうめ)」とされています。歯には既婚女性の証である“お歯(は)黒(ぐろ)”が見られ、褄(つま)の部分には梅の紋様が配されています。また着物は烏(からす)の柄となっており、黒の色と対応しています。褄を取りながら船の乗り場に立っていることから、降りた船を見送っているところでしょうか。 五行説(ごぎょうせつ)において重要な色とされていた「黄」「青」「赤」「白」「黒」の5色に、それぞれ美人が当てはめて描かれています。またこの美人たちは、歌舞伎の登場人物に擬えて描かれており、各色は、その役が決まって着る衣装の色と対応しています。 「青」に描かれているのは、小栗判官ものの物語に登場する照手姫(てるてひめ)。小栗判官は藤沢の遊行寺とゆかりのある人物で、照手姫は小栗判官の恋人です。 |
三代 歌川 豊国(国貞) (さんだい うたがわ・とよくに(くにさだ))
天明6年~元治元年12月15日(1786~1864)。角田氏、俗称庄蔵、弘化2年剃髪後肖造。初代豊国、英一珪の門人で二代豊国を自称しますが実際には三代。他に一雄斎、五渡亭、月波楼、琴雷舎、香蝶楼、一陽斎などの号があります。作画期は文化4年(1807年)から没年と長く、北斎、広重をしのぐ人気を得、浮世絵界始まって以来の作画量を記録します。幕末期随一の巨匠。得意とする領域は広範に及びますが、猫背猪首型の美人画が特徴的で「偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)」が著名です。