資料番号 | 10059 |
資料名 | 江の嶌もうで
(えのしまもうで) |
分類 | 七里ヶ浜から遠景に江の島を描いた作品 |
作者 | 歌川 国貞(三代 豊国) ![]() |
時代 | 江戸 |
形態・用途 | 書画 |
場所 | 江の島 |
解説 | |
大判縦3枚続 縦36.0 横99.6 制作時期:弘化年間(1844~47)。板元:布吉 三代豊国は文政12年(1829年)柳亭種彦作『偐紫田舎源氏』(にせむらさきいなかげんじ)合巻(ごうかん)の挿絵で評判となり、弘化元年(1844年)豊国の号を継ぎ、以後乱作傾向となり画風は類型的(るいけいてき)となります 。 画面は、江の島と富士を背景に3人の女性が、それぞれのしぐさで描かれています。左端の女性は火打金(ひうちがね)(右手)と火打ち石(ひうちいし)を打合せようとしています。また、右端の女性の持つ煙管(きせる)には疱瘡除け(ほうそうよけ)天然痘(てんねんとう)の赤い布が巻き付けられ、いずれも旅の安全を祈るまじないです。 三代豊国は文政12年(1829年)柳亭種彦作『偐紫田舎源氏』合巻(ごうかん)の挿絵で評判となり、弘化元年(1844年)豊国の号を継ぎ、以後乱作傾向となり画風は類型的となります。他方では工芸的な要素が増し、美人役者シリーズものを多く制作しています。全般的には合巻類挿絵が多いようです。文化と天保年間に若干読本の挿絵も描き、更に天保中期頃風景画も描いています。この作品は、国貞改二代一陽斎豊国と落款されていて、二代豊国の後継のいざこざのあった時期の作品です。 |
歌川 国貞(三代 豊国) (うたがわ・くにさだ(さんだい とよくに))
天明6年~元治元年12月15日(1786~1864)。角田氏、俗称庄蔵、弘化2年剃髪後肖造。初代豊国、英一珪の門人で二代豊国を自称しますが実際には三代。他に一雄斎、五渡亭、月波楼、琴雷舎、香蝶楼、一陽斎などの号があります。作画期は文化4年(1807年)から没年と長く、北斎、広重をしのぐ人気を得、浮世絵界始まって以来の作画量を記録します。幕末期随一の巨匠。得意とする領域は広範に及びますが、猫背猪首型の美人画が特徴的で「偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)」が著名です。